キャロライン・メイス 川瀬勝訳『チャクラで生きる』Caroline Myss Why People Don't Heal and How They Can
訳者の川瀬勝といえば
前に読んだ『アトランティスの遺産』の訳者でもある。
ちょうど今また 図書館から借りてきているので
そういうつながりも大事にしつつ。
著者は 国際的な直感医療の第一人者 神学博士
という肩書きを持ち
波動医学という新しいものを提唱している。
医学博士ではない人による医療 という点で
この本がどういうことを言いたいのかを明らかにする必要がある。
直感医療とは
「人の感情 身体的なストレス・パターンをはっきり『読む』」
行為である。
波動医学とは 古くからある知識で
その原理は古代シャーマン ヒンドゥー教 中国の治療家にはよく知られる。
西洋にあった霊性についての真理・倫理と
東洋のチャクラの概念を組み合わせ
波動について語る新しい言語を作り出したと書かれてある。P13
ちなみに チャクラの体系は
ヒンドゥー教 仏教 道教(タオイズム)の基礎になっている。P14-5
波動医学では 誰も7つのエネルギーを持っているが
ヒンドゥー教ではこれを「7つのチャクラ」
キリスト教では「7つの経典」P11
「白雪姫」の7人の小人も それを象徴している!P369
ユングとキャンベルが研究した「神話」に関わってくる。
このことは 古典文学であるところの宗教の経典や 神話にある
物語のモチーフ(元型)をさぐることが
ユング心理学で行っている全人格を取り戻す行為につながる
ということを裏付けるものであり
「波動医学 なんじゃそりゃ」
という 最初の疑念も晴れてくるように思われる。
「…ネガティブであることだけが病気の源ではない。病は身体を通して それがなければとても足を踏み入れることはなかった学びや洞察へと人を導いてくれる場合もあるのである。」P10
そして 病気のみならず
人生の難題の意味を「象徴的に読み取る」道を示すものである。
具体的な病気との関連は 実際に読んでもらうとして
ここでは 個人と象徴視点の力を中心に取り上げる。
<人の罪悪感を利用する「傷の言語」>
著者は 「傷の言語」つまり
「傷を利用することで人を操る」力を見分けるという。
トラウマとなるような体験をすることは
本人にしかわからない苦しみである。
しかし そのような精神状態は悲しいものであり
自分を限定する。
それを維持することで力を得る人もいる。
限られた責任しかない人生を過ごす免罪符を与えられ
他人の助けを求めて依存し
その人の罪悪感を利用して いつまでも助けてもらうことを可能にする。P78
このことは タイトル(原題)にもあるように
「なぜ人は傷を癒そうとしないのか」
というところに関わってくる。
傷を癒さないことで 力を得ているからなのだ。
これに気づくと 罪悪感を感じている側にも 自己発見となる。
先のK・ロスにあった「ほんとうの自己」を見つけることができると思う。
私たちは 傷を負う人を助けることはできるかもしれないが
それは限度があり その人を救うことはできない。
<象徴的な視点を持つ>
「象徴的な視点があれば 何か危機が訪れたとき 実はそれが自分自身について学ぶべき何かを教えるためなのだ ということがわかるようになる。」P147
自分に不都合な人間も 実は学ぶべき師である。
なかなか そうは思えませんが…
「ある特定の『師』に対する怒りを感じて人生を過ごすこと―その人間に罪の意識を感じさせるまで罰したり 失われた何かを嘆きながら長い年月を過ごしつづけるというのは 究極的な意味で自分の学びのプロセスの妨げとなる。」P147
人生で起きることを 成長のための課題として捉えられるようになる
それが象徴視点の利点である。
それが特に 病気についていえる と述べられている。
<個人の力>
また 集団と個人についても述べている。
私たちは誰でも
同族意識と集団の世界観に浸かった状態で人生を始める。P153
だが 個人として進化していくためには
集団とのしがらみから自分を解き放ち 精神の深層にあるものを分析して内面へと突き進み 自分の影の部分の対峙する必要がある。」P156
集団は本能的に 構成員が離れようとすると思いとどまらせる。
例えば
自己発見の旅に出ようとすると 家族が反対する など。
それは 個人的な感情ではなく 集団の忠誠心からである。P157
集団の力は ほとんどが物質世界にかかわるものであり
最も外的な気の形態である。P240
大まかな法則として 悪い感情との関連は だいたい集団意識P250
といっている。
人が受けたりつくり出したりする痛みは そのかなりの部分が子ども時代 あるいは人間関係か職場で生じるものだP250
これは わかっていても 1文にできないことだ。
自分の中で モヤモヤしたものが クリアになった気さえする。
親(世代を受け継いで)が 世間が 国が 流行っているから
という集団に基づく感情
それは 自分が感じたことではなくて
植え付けられたものである と言っている。
身近に思うことで例をあげれば
女性が勉強をし仕事を持つことができなかった時代や
男に意見することができなかった時代の記憶は
自分の考えではなくても 自分たちの世代にも影響を与えている。
親世代は 自分たちができなかったことが
子ども世代以下の人間ができることに対し断罪する。
メイスの考えに則れば その悪循環の構図は 集団感情からくる。
出世にとらわれず自分がやりたいことができたり
旦那ではなく 女性自身が活躍できる社会になってほしい
と思って 世界がここまできたのに
その足をひっぱるようなことを言うのは
集団感情にひっぱられているからだということがわかる。
そのことを 言う側言われる側も気づくと
悪循環を脱するきっかけになるのでは と感じる。
人間に 個人の無意識(善)と集団無意識(悪)がある
といったのは ユングであり
一人ひとりが集団の一部であることに気づき
個の道徳を取り戻す作品を書こうとしたのがスタインベック
同じことを 『チャクラで生きる』のメイスも言っている。
だが
集団は 確かに居心地が良いものだが
集団の意識が「悪」に基づく感情に作用しているとして
そこを脱して 自分を探求せよ と明言しているところが
一歩突っ込んだところだと感じる。
余談ながら
直感医療とまではいかないものの
日本の長者番付の上位にいる斉藤一人さんも
身体の変調と考え方や環境の関連性に気づき
その考えに基づいた商品を開発して成功している。
個人的に 彼の考えにうなづくこともあるが
いかにせん「天国言葉を使う」など 表現がトンデモ宗教を彷彿とさせる。
せっかくイイことを言っているのに 残念に思う。
イイことをやるときは 人に受け入れられる表現をしたい<自分。
でないと
スピ系を信じない人たちに「うさんくさいレッテル」を貼られてしまい もったいない。
そういう意味でも
この本は 既存の宗教や医療との接点を詳しく書いており
本を読む限り 信用できる。
また機会があれば 別の著書も読んでみたいという気にさせられた。