『おしいれのぼうけん』
去年の9月ごろ 子どもが幼稚園から借りてきた本。
ちょうど3連休ということで 遠出をしたときでした。
この本を携えて行ったところ
返すまでに合計7回読んだという記録を持つ
息子の大好きな絵本なのです。
年末に ダイエー『宮脇書店』にて購入
何度も繰り返して読んでいます。
ふるたたるひ たばたせいいち 『おしいれのぼうけん』
さくらほいくえんには こわいものが ふたつ あります。ひとつは おしいれで
もう ひとつは ねずみばあさんです。
※
押入れは 言うことをきかない子どもが入れられるお仕置きの場所。
ねずみばあさんは 人形劇で使う ねずみのおばあさん。
ある日のこと
園児のあきらとさとしは お昼寝の時間に騒いでいたので
押入れの上の段と下の段にそれぞれ入れられてしまった。
人形劇でねずみばあさんの役をやっている「みずの先生」は
「押入れの外で反省する」
と言ったさとしの言葉も聞かず 閉じ込めてしまったため
さとしは猛反発。
どの子どもも 怖くなって すぐ「ごめんなさい」と言うのに
なかなか謝らない。子どもと先生の根競べ。
その内 押入れの壁のシミが ねずみばあさんのように見え
押入れの壁の木目から出来たトンネルをくぐり
さとしとあきらは 押入れの不思議な世界へと飛び込んだ。
※
そんな風にして 奥へどんどん入っていった二人は
ねずみばあさんや 子分のねずみたちに追いかけられ
「食べてしまうぞ」「ねずみにしてやるぞ」
と脅されながらも
最後まで自分たちを曲げません。
この物語は
さとしとあきらの成長物語のように描かれていますが
実は 水野先生の物語でもある というところが見物です。
先生は 実は若い新米教師のようで
ベテランの先生とのやりとりも描かれており
子どもたちへの接し方を勉強している途中 ということが伺えます。
とにかく 悪いことをしたら 押入れに入れてしまう。
入れてしまえば 子どもたちは暗いところが怖いので
謝らざるをえない。
それが 次のようなところからもわかります。
「しばらくすると せんせいは おしいれからこどもをだします。でてきたこは いいます。『せんせい ごめんね。」ああ だしてくれてよかったと みんなはほっとします。『ごめんね』と いってくれてよかった と みずのせんせいも ほっとします。」
「子ども」という未知の生き物に どう対処していいかわからない
ある意味 子どもが恐怖だった先生が
怖がって権威を振りかざしている自分に気づき 成長していく。
つまり 自分を苦しめているのは 外側の人間や環境ではなく
自分だったと気づくところが この本の醍醐味のように思われます。
物語はとても多面的で
見る人の角度によって 同じ物語でも違うように見えてくる。
物語には 寛容 親切といった「善」から
嫉妬 残酷 裏切り といった「悪」まで
あらゆる性質の登場人物が現れる。
それは 一つ一つが自分に潜在的にある性質であり
それを 物語を通して体験することによって 自分の物語になる。
今 この瞬間からでも自分を支えてくれる。
例えば 息子にとっては 「さとし」という人物が自分であるように
私にとっては 水野先生が 自分であるように。
息子がこの本を初めて読んだ時 クライマックスのシーンで
「この本すごいよ!」
と叫びました(笑)。
ねずみばあさんという 「恐怖に打ち勝とう」とする姿が
子どもにとっては 勇気を奮い立たせるものに映るのだ と思います。
さとしのセリフは 必ず自分で読むしね。さとしに なりきっている。
一緒に読んでいて面白い。
ちなみにこの本
初版が1974年11月1日と古く
我が家にある本は なんと178刷(2007年7月20日)です。
全77ページで読み応え十分 世代を超えた人気の一冊
ぜひご覧下さい。
せば!
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