人生の地図 -物語 3-
スタインベックが『エデンの東』を書くずっと前に
『赤い子馬』という短編を書いたのだが
それは『エデンの東』の習作というべきもので
主題や構成が酷似しており 4つの短い物語から成る。
2つ目の作品『大連峰』の冒頭で
主人公のジョーディという少年が
小鳥に石を投げて殺してしまうシーンがあり
彼はそれを親たちに見られれば叱られると知っていて 隠す。
「どうだ。とうとうやっつけてやったぞ」彼は言った。 死んだ小鳥は 生きているときにくらべて ずっと小さく見えた。ジョーディは 何かとがめられるようなかすかな苦痛を胃の腑に感じた。それでナイフを取り出し 小鳥の首を切り落とした。それから腹を裂き 羽を切り離した。そして最後に ばらばらになった小鳥の死体を茂みの中へ投げすてた。彼は小鳥のこともその命のことも まるで気にかけなかった。だが 自分が小鳥を殺すところを見たならば おとなの人がなんと言うか はっきりわかっていた。それを考えると われながら自分が恥ずかしくなってきた。彼はいっさいの出来事をできるだけ早く忘れ どんなことがあってもけっして口に出すまいと心にきめた。(『赤い子馬』P67)」
われわれ大人は
そういういたずらを やみくもに「ダメ」と言わないほうがいいらしい。
うーむ これは難しい。
見ないようにしよう。見なけりゃいい。(そういう問題か?!)
子どもは大人の知らない小さな秘密を持って当然なのだそうだ。
机の一番上の引き出しの鍵は
子どもが持ったほうがいいそうです。
そうじゃないと 部屋全体にカギをかけることになるのだとか。
このジョーディ少年は 一連の作品を通じて
トリックスター(いたずら者)から 次の段階へ成長する。
4つ目の作品『開拓者』の中では
年老いた母方の祖父が いつも開拓時代の話ばかりするので
辟易していた家族が描写される。
煙たがられ 過去の栄光にすがる悲しそうな祖父の姿や
その前作の中で命の尊さを垣間見るうちに
少年の中に優しい気持ちが育っていく。
つづく
(人生の地図 物語4・5 については
期間限定とし 削除しました。5月9日記)
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