この世は縁で成り立っている
近所のハワイ好き仲間であるAさんに誘われて 国際交流を考える会主催の講演会に行ってきた。講師は 自転車で世界一周をした坂本達さんという 37歳の男性。坂本さんは 強い冒険心とは裏腹に 実に物腰が静かで 謙虚な話し方が印象的な方だった。子供服のブランド「ミキハウス」の社員である彼は 会社に年2回提出するレポートに 勝手に自分の夢を書いて出し続けていた。同時にあらゆる贅沢を控えて摂生し 資金繰り。その熱意が社長に通じ 4年3ヶ月も有休休暇をもらって 世界一周を成し遂げたのだ。すげ~!
親御さんの転勤が多く パリにも7歳から11歳まで住んだことがある坂本さんは 「自分の五感をつかって世界を見てみたい。世界中の人に出会って 彼らがどんなところに住んで 何を食べて どんなことを考えているのか もっともっと知りたい。」と考えた(坂本達『やった。』P3)。現実(仕事とお金)と夢(時間)を天秤にかけ 「時間だけは取り戻せない」と考えた彼は 26歳の時に 今やるしかないと決断した。その矢先に 有休休暇などの後押しがあったそうだ。
旅立ちにあたって お父様からこう手紙で言われたそうだ。「3人兄弟の中で一番お前が気が弱い。でも世界一周をするなら 気が弱い方がいい。世界を旅すれば 危険を回避しなければならないし 細かいことに気がつく。慎重に判断しなければ命取りとなることもある。気が弱いという長所を活かしてやってこい。」このエピソードは 育児に時として迷う私たちに 大きな指針を与えてくれた。私たちも 息子たちのありのままの姿を応援するべきなのではないか と考えさせられたのだ。同行したAさんも心を打たれ いつも元気いっぱいで明るい彼女も 涙していた…!(←それも衝撃的だった。)
講演は スライドとビデオを見ながら行なわれ 大げさではなく どれも本当に心に響く言葉ばかりだった。特に ギニア(アフリカ)でマラリアと赤痢に同時にかかり 生死をさまよったエピソードが印象的だった。2度と会えない旅人のために 村で最後の薬を使い 病後の療養にと鶏をくれたそうだ。この時から「走らせてもらっているし 生かされている」ことに気づき 感謝の念が生まれたとのこと。
また 世界一周を成し遂げた後 お世話になったギニアの仲間と 井戸を作るプロジェクトを立ち上げ 完成させるまでのドキュメンタリーもすばらしかった。貧しい国では みんなが分け合って 助け合って生きている。私たちは ないものを欲しがるのではなく 今ある幸せに気づき 足ることを知るべきだ ということを 全体を通して話しておられた。
かといって 声高に善を語るのでもない。挨拶と感謝という基本的なことを徹底する大切さを とうとうと説く。「落ちたものを拾ってやったのに 礼も言わずにふんだくられたら 私だって人間ですから『なんだこのクソガキ もうに度と助けてやらねーぞ!』と思いますよ。」この言葉に 会場がどっと沸いた。いたって普通の方なのかもしれない。でも 自分と他者との関係を ごく短期間に密にたくさん築き上げてきた結果 人生においてそれをどのように応用していけばよいのか悟ってしまった。そして これをみんなに伝えねばならない という使命感に駆られているのでは と感じた。
私たちに限らず 会場にいた聴衆の皆さんも 坂本さんの人となりと 熱い語りに感動していたと思う。講演会に誘ってもらったこと 坂本さんの話を聴けたこと 全てが本当に良い出会いだった。講演が終った後も 周囲で口々に誉める言葉や 握手や写真を求める子供達で 大賑わいだった。かく言う我々2人組も バーゲン会場の主婦よろしく すばやく本を買い サインの列に並んだのだった。
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